すべては神様が創られた |
すべては神様が創られた 深い悲しみと焦燥の中から生まれたことばに、黒田征太郎のエネルギーが注ぎ込まれ1冊の熱い絵本になった。 2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻しました。出口の見えない殺し合いが続いています。この絵本が世に出るころには停戦状態になっていること祈っています。絵本に込めた思いは、特定の国の応援ではなく「NO WAR―戦争を止めろ」です。(中略)「正義感」という人の思いを呑み込みつつ戦争は拡大していきます。 戦争に良い戦争も悪い戦争もありません。戦争そのものが悪です。この機に乗じて核武装が必要などという妄言が出始めています。私たちはあの道を二度と歩むことは出来ないのです。 ■推薦コメント 戦争はいつもたくさんの言葉を動員する。たくさんの言葉が要るのは、どれだけ言葉を尽くしても自分がふるう暴力を正当化することができないということを誰もが心のどこかで知っているからである。戦争についての言葉は、当事者であろうとなかろうと、自分自身に向けて、しばしば自分の思考を停止させるために発される。停止された思考が息を吹き返すような言葉を探り当てること、それが私たちにできる数少ないことの一つだと思う。奥田さんの言葉にはその力がある。 内田樹(思想家)
どんな国の人でも、どんな性別でも、どんな年齢、どんな職業、どんな生まれ育ちであっても、そして、どんな神を信じていても、或いは神など信じていなくても、今はそれぞれの声で、断固として「戦争反対!」と訴えるべき時だ。 平野啓一郎(作家)
牧師の奥田さんは問う。「神様は、なんのために人間の口や手や目を創られたのか」。そして続ける。「戦争するためではないだろう」。 信心が足りない僕は思う。「口や手や目は、悠久の時間のなかで遺伝子がエラーを繰り返した結果できあがったものだから、そこに目的はないだろう」 本書を読むと、以上のような「自分なりの考え方」が思い浮かぶことだろう(僕の考え方が味気ないことは自覚しています)。なぜなら、奥田さんのことばとともに、黒田さんの絵が描かれているからだ。黒田さんは神様を登場させずに「戦争するためではないだろう」と語る。2人が違う語り方で「戦争するためではないだろう」と示してくれるから、「では、僕は」と考えたくなる。魅力的な本である。 山崎亮(コミュニティデザイナー)
人間が善きものであることを信じる奥田知志さんの魂の言葉と、生命のエネルギーをその絵筆からほとばしらせる黒田征太郎さんの絵が響き合って、未来を託せる素晴らしい絵本ができた。この困難な時代だからこそ、へだてない、決めつけない、あきらめない心の強さとしなやかさを持ちたい。この一冊の思いが世界のすみずみまで届きますように!
茂木健一郎(脳科学者)
|